「都挺好(dōu tǐng hǎo)」– 2019年中国の人気ドラマ

 最近、中国では、「都挺好(dōu tǐng hǎo)」というドラマが大人気で、多くの反響を呼んでいます。

 このドラマは、蘇州を背景に、蘇一家三兄弟と父親の葛藤や成長物語を通じて、中国の社会問題や普通の家庭が抱えている問題をリアルに表現しました。多くの人の心を掴み、共感を得ていました。

 ドラマ名は「都挺好」ですが、実際には「都不太好」です。少し皮肉な意味もありますね。

 中国のQ&Aサイト「知乎」には、78%の人が勧め、19000人がコメントを入れました。注目度も話題度も高いです。

蘇家の家族構成

母親:趙美蘭

気が強い、一家の実権を握る、息子を愛し、娘に冷たい。

(非常强势,家里的掌权者,重男轻女,对小女儿极其冷漠。)

父親:蘇大強

恐妻家、気が弱い、ケチで打算的。妻がなくなってからやりたい放題、自己中、無責任。
常年生活在妻子的掌控下,小气、软弱又精于计算。老伴去世后,开始天天作妖。

長男:蘇明哲

責任感や自尊心が強すぎ、能力がないのに虚勢を張る。
具有绝无仅有的责任心和自尊心,却喜欢打肿脸充胖子,死要面子又愚孝的失业凤凰男。

次男:蘇明成

母親に溺愛されて育てられ、経済を親に頼りにしたり、いろんなことを親や他人のせいにして責任を逃れたりする。 (妈宝男、 啃老族、 爱逃避责任)

末っ子の長女:蘇明玉

母親に愛されなく、心の傷を持ちながら、立派なキャリアーウーマンに成長。
(没有享受过家庭的温暖,靠自己打拼出一片天地)

物語

 ストーリーは母親が急死してから展開されました。長男がアメリカから葬式に駆けつけ、長女と次男が葬式の最中で喧嘩。その後、父親の様々な無責任な行動。世間の目から幸せなはずのファミリーですが、「重男軽女(息子を大事にする一方、娘を無視する)」、「啃老(経済を親に頼りになる)」、「介護」など、現代中国の典型的な社会問題と複雑な家族問題はこのドラマで豊に表現されました。

 ドラマは、全員自分の問題に直面し仲直し、一家団欒で和気あいあいの最終回を迎えました。この結末は「現実ではない」、「理屈が通じない」など、ネットから批判の声が寄せられています。「豆瓣」(注)での評価も前半の8.4の高得点から7.8に落ちました。

「豆瓣」(dòu bàn):映画・ドラマ・本などの作品評価サイト。通常得点8.0以上は優秀な人気作品です。

感想

 このドラマは、中国の現状を丁寧に描いたとともに、 「原生家庭」(自分の生まれ育った家庭 ) はどれだけ人間の一生を影響するのかも深刻に描きました。「知乎」の多くの議論は、かつて自分が「原生家庭」に傷付けられ、その傷をどう癒していくのかということです。

 東野圭吾の小説「時生」の中で一番心に残る一文は、 竹美さんのせりふでした。

「誰でも恵まれた家庭に生まれたいけど、自分では親を選ばれへん。

 配られたカードで精一杯勝負するしかないやろ。」

(谁都想生在好人家,可无法选择父母。发给你什么样的牌,你就只能尽量打好它。)

 中国に限らず、自分の生まれ育った家庭に悪い影響を受けた人はどこにでもいると思います。こんな人たちはヒロインの蘇明玉からエネルギーをもらったのも人気の理由ではないでしょうか。

番外編

 ドラマの父親役は個性派俳優の「倪大紅」(ní dà hóng)さんが演じました。演技がうますぎて、この顔を拝見したらイライラが止まらい。

「马里奥小黄」というイラスト作家が中国のSNS「Weibo」で「蘇大強表情包」(注)を配信してから、莫大な人気を呼んですぐにネットで拡散されました。

「表情包」–イラストと文字を組み合わせた作品。LINEのスタンプみたいに、驚き、あいさつ、あいづちなど、ユーザーの気持ちを表すために使われる。

 実力派俳優「郭京飛」(guō jīng fēi)さんが演じた次男ですが、自己中、無責任で、蘇大強と同じ罵声を浴びました。俳優さんは単純にそのまま悪人を演じたのではなく、面白い表情やセリフなどを加え、微妙に「本当にいやなやつだが、なんかちょっと可愛くない?」と思わせるような立体的な人物を表現できました。その演技力も評価されました。

 ドラマの中で、郭京飛さんが「広場舞(広場ダンス)」(注)を踊るシーンが面白く、真似する動画もたくさん出ています。

 広場舞–中国各地の公園や広場で音楽に合わせて踊るダンス。健康維持やダイエットを気にする中高年女性の間で絶大な人気がある。

 

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